HOME | 集客の考え方 | ブースデザインの「基本10項目」

10ELEMENTS

ブースデザインの「基本10項目」

ブースデザインを考える時、その前提とするべき事項があります。それは、「来場者の気持ち」 会場の中を来場者の方々が見て回る時、どのように考え、どのように行動するのでしょう。そのことがブースデザインを考えていく上では重要な指標となるのです。


 

  1. 小間位置に合わせた形状(+キャッチの言葉の位置)
  2. キャッチの言葉の考え方
  3. 通路際の展示
  4. 照明をしっかりと
  5. 陳列について
  6. 収納について
  7. 商談席について
  8. ブースイメージの決定方針
  9. パネルデザインと配布物
  10. スタッフ配置戦略

 


01|小間位置に合わせた形状

会場内のブース位置によって「ブース形状」は変わります。
POINT1:来場者の流れはどうか。来場者の流れに即したデザインになっているか。
POINT2:不利な場所になっている場合、それをカバーするデザインになっているか。

 
来場者がどの方向から歩いて来るのか。それによって形状は変わります。例えば、ブースの「背面」からのアプローチが多い場合(当社では逆アプローチ型と呼んでいます)は、キャッチの言葉などを、その背面に向けて書いておく必要があります。またメインの通路から離れた場所に小間がある場合、色で目立たせて存在感を増したり、大きな文字でキャッチの言葉を書いたりの工夫が必要です。このように、会場内でどんな場所にブースがあるのか。その場所に応じてブースの形状は変わってくるもの。集客をしっかり考えた場合、これは無視のできない考え方の一つになります。狭い通路、休憩コーナーの前、逆アプローチな場所、入口の目の前など、それぞれの場所に最適な形状、というのがあります。当社では、小間位置をお聞きしてからその場所に相応しいデザインの形をご提案しています。下記図面は当社で作成した仮想の会場小間位置図になります。ブース番号それぞれ場所が異なりますが、それぞれの場所に応じて小間形状は違ってきます。さて、A-Dの小間位置、どんな形状になるでしょう?
 

02|キャッチの言葉の考え方

会社名、ではなく「何を扱っているか」を表示すること。
→POINT1:来場者がブースに接近した0.5秒で、興味を持たせること。
→POINT2:会社名では何を扱っているかを瞬時に伝えられない。

 
ありがちなのが、ブースには「会社名」やブランド名を大きく掲げること。しかしながら、その考えは要注意です。大切なことは来場者がブースを見る瞬間、ほんのわずかな時間に「何を扱っているか」を理解させ、「寄ってみたい」と思わせること。会社名やブランド名でそう思わせることはなかなか難しいこと。超有名企業なら可能ですが、ほとんどの出展者様とその製品はこれから世の中に出ていこうとする段階。会社名より「何を扱っているか」または「商品の品目」を書きましょう。また、キャッチでもう1点注意しなければいけないこと。それは当たり障りのない無難なキャッチフレーズ、です。これも現実的にはあまり意味がありません。キャッチフレーズは、単刀直入が一番。自分がお客様に営業の話をする際にまず出てくる普通の言葉で全く構いません。「世界に貢献する・・・」とか「環境に配慮した・・」などより、「他社とは○○が違います」とはっきり書いた方が来場者には響きますよね。
 

03|通路際の展示

通路際から手を伸ばせる範囲。実はここがもっとも大事な場所。
→POINT1:自分が見せたいものではなく、来場者が興味を持ちそうなものを置くこと。
→POINT2:動線を考慮し、照明の当て方、展示方法を入念に検討すること。

 
「つかまりたくない」と考える来場者。その前提で大切になってくるブースデザイン。
それは、「通路際」をどう設えるか、になります。ブースに入らなくても通路際から手を伸ばせば気軽に見ることができる展示台。来場者が初めてブースに取りつく場所。当社ではこのような機能の場所を「ファーストコンタクトゾーン」と呼んでいます。この場所には、来場者がふと手に取りたくなるもの。気になるもの。何だろう、と思うものを置くようにします。その際、必ずしも出展者側が考える「今年の新商品」ではないことに注意が必要です。大切なことはあくまでも気を引き、「寄ってみたい」と思わせること。
 

04|照明をしっかりと

照明は何より重要。来場者が見る側から当てているか。
→POINT1:会場の天井照明に期待してはいけない。
→POINT2:商品が逆光になったり影になっていないか。

 
住宅や店舗、街中にある様々な空間。最近の傾向として、以前より照明に注目される割合が高くなってきている、と言われます。住宅や店舗を施工する時、照明に当てる予算が年々増える傾向にある、とか。それは照明の果たすべき役割が理解されてきているからだと思います。展示会のブースでも同じ。展示会ブースデザインにおいても照明の計画はとても重要な事項の一つです。現在、展示会場を見ると残念ながら照明をしっかり検討されているブースは少ないように思います。照明計画の基本の一つは、来場者が見る側と同じ側から光を当てましょう、というもの。単純なことですが、これが基本です。下記の写真は展示台の上に乳白アクリルを置き内部に照明を仕込んでいます。下から照明を当てる場合、商品そのものは逆光になってしまい来場者から見ると商品は暗く見えてしまいます。ですので、この場合上部にも照明を設置しておくことが重要です。
 

05|陳列について

「伝えること」半分、「魅力をつくること」半分。
「余白」の設定が重要に。
→POINT1:「陳列」と「展示」の手法を使い分ける。
→POINT2:詰め込み過ぎず「余白」を活かして商品が映えるように。

 
商品を並べる際には、陳列と展示の違いを理解して、それぞれの良さを活かして並べると効果的です。陳列は商品の種類と内容を正確に並べるためのもの。一方、展示は商品の魅力を伝えるために綺麗に飾ったり、使い方を示したりします。また、商品を陳列する際には、「伝えること」が半分、「魅力を伝えること」が半分と考えます。全てを伝えようとするあまりに展示台の上に商品を置き過ぎることはよくあること。展示台の上は、「第一印象」も重要な要素です。商品がよりよく見えるように、「見映え」にも気を配りながら陳列の検討を行っていきます。
 

06|収納について

倉庫だけが収納ではない。展示台下など用途に応じた収納形態を。
→POINT1:収納の種類は、倉庫、展示台下、展示台のオープン収納などがある。
→POINT2:倉庫は思っているより収納量はない。

 
展示会ブースにおいて「収納」と言うとまず「倉庫」を思い浮かべてしまう方も多いと思います。しかし、倉庫は思っている程収納力がないことはご存知でしょうか。例えば、住宅におけるウォークインクローゼットも一緒なのですが、倉庫内の半分は「通路」に必要になってしまいます。その関係上、その形状・容積程収納力は持てないのです。単純に収納量だけを問題にするのであれば、展示台の下を全面収納にした方が収納力は高くなります。展示会ブースにおいて収納場所はメインではないですが重要な要素。そして、ブースにおける収納場所は倉庫だけでなく、展示台の下も有効ということ、そして、収納の方法も完全に隠してしまうクローズな収納と、直ぐに取り出せるフタのないオープンな収納、などの種類もあることを覚えていてください。
 

07|商談席について

商談席はあった方がよし。
しかし小間サイズにより別形態も検討要。
→POINT1:小さな小間サイズでは、商談席を置くと大きな面積を取られる。
→POINT2:座って話すことが唯一の商談コーナーのあり方ではない。

 
展示会出展社の方に「商談席は要りますか?」と聞かれるととりあえず「必要ですね」と答えます。しかしながら実際には商談席の有無については慎重な判断が必要です。大きな小間サイズなら問題はないのですが、例えば1小間や2小間サイズのブースの場合、商談席を置けばブースの大きな面積がそれで占められてしまい。大事な商品を置くスペースが削られるのと同時に、「商談をしていない時間」は完全に機能していない無駄なスペースになってしまいます。1小間・2小間サイズの小さなブースの場合、商談コーナーの設置は慎重に決めましょう。例えば、商談席がなくても、ちょっとしたカウンターがあればお客様との話や資料を広げることは可能になります。多くのブースを回りたいと考えている来場者はなかなか座っていただけないもの。でも、ちょっとしたカウンターの場所なら、結構気軽に応じてくれます。「段階的商談席方式」と当社では言っていますが、いきなり座ってもらう、という前に展示台の前(商品の前)から、ちょっとしたカウンターに移動、というワンクッションを入れるという方法も有効です。さて、ここで問題。商談席は、一般の会議机の高さ(H700mm)と高めのハイテーブル(H1000mm)、どちらがいいでしょう?
 

08|ブースイメージの決定方針

3通りのブースイメージ決定方法。
あくまで来場者目線でイメージを決定する。
→POINT1:ブースイメージは好みでは決めない。
→POINT2:会社イメージの他にバイヤー目線からの方法、会場イメージ等で決定。

 
ブースの全体イメージをどのようにするか。一見デザインセンスや好みで判断してしまう項目ですが、これも慎重な検討が必要です。通常、ブースの色やイメージは出展社の「会社イメージ」や「ブランドイメージ」で決めることが多いかと思います。しかし、当社では、それ以外に状況に応じて2つの方法も同時に検討します。1つは「ターゲットとなるバイヤー」のイメージに合わせること。「この商品を入れたい店舗イメージにする」というものですね。これによってバイヤーさんは自分の店舗に置いた時の状況を思い浮かべやすくなります。もう一つは、「会場内の他のブースイメージを知って敢えて差別化する」方法です。周囲がみんな白いブースで来ることが分かっていれば敢えて「黒」や赤・黄色などのカラフルにする、という方法です。どの方法を取るかは出展社の商品の内容や社内の状況にも拠ってきます。下記ブースは、文具のメーカーさんですが、ターゲットイメージを少々高級な文具店、カフェと本屋も併設しているような店舗のイメージですね。そのターゲットのバイヤーさんにイメージがしやすいよう、ブースのイメージとして木目調を部分的に使用し、余白を通常より多く取るようにしています。
 

09|パネルデザインと配布物

壁面パネル。来場者は時間をかけて読んではくれない。
→POINT1:出展社が思っている以上に、来場者はパネルは読んでくれない。
→POINT2:パネルの前、3秒で「何を伝えたいか」を理解させること。

 
A1サイズのパネルをブース内にたくさん貼っているブースをよく見かけます。そして最近はそのパネルをLEDパネルにして光らせているブースも。ですが、パネルをブース内に掲示する場合にはかなり慎重な検討が必要です。まず、来場者は出展社が思っている程、じっくりと長い時間をかけてパネルは読んでくれません。せいぜいA1サイズのパネル1枚を1分というところでしょうか。もしそれ以上読んでいるときっと出展社のスタッフが声を掛けることでしょうから。基本的にパネルは、ぱっと見た瞬間、数秒で「何を伝えたいのか」を理解してもらえるような内容であることが重要です。読んでほしいあまりにたくさん内容を詰め込み過ぎるのはNG。当社では、そんなパネル対策として、パネルと同時に配布資料とカンペ(資料を貼り付けた説明用手持ちパネル)を活用する案を推奨しています。また、LEDパネルの採用も長所短所を理解した上での利用が大切です。パネルは光ってよく見ますが、同時にその明るさ故にその下にデモ機や商品があった場合にそのデモ機や商品が目立たなくなってしまうのです。LEDパネルを使用する際には、ブース内の照明の機能も十分に検討しましょう。さて、ブースデザインにおいて壁面のサイン(ロゴなどの文字関係)やパネルのデザインなどの「グラフィックデザイン」はブースのデザイン的な品格を決める重要な要素なのですが、1点知っていただきたいことがあります。それは「ブースの壁面のパネルデザイン」と「配布資料のチラシデザイン」の考え方は異なる、ということ。よくチラシのデータをベースに、「これをA1パネルにしてください」と言われることがあります。その場合、集客を考えた時、そのままA1にすることはNGです。チラシは「人」が持って回るもの。それに対して壁面のパネルは「壁に付いて動かないもの」。これがその理由なのですが、壁面にあるパネルは、来場者がどこからそのパネルを見るかによって文字の大きさを変えないといけないのです。そのようのしないと、出展者の自己満足の「読んでもらえないパネル」になってしまいます。要注意。
 

10|スタッフ配置戦略

スタッフの待ち方も重要。「構えて」待ってはいないか。
→POINT1:通路に向かって「待ち構えて」いないか。「動的待機」が重要。
→POINT2:ストレスなく来場者が「気軽に取りつく場所」を作っているか。開けているか。

 
ブースの前に複数のスタッフが立ち、通路を見渡しながら、来場者を待つ姿。
実はこれがもっともしてはいけない「待ち方」です。来場者は「捕まりたくない」と考えているもの。待ち構えず、さりげなく何かを作業する「フリ」をして待ちましょう。これが「動的待機」です。そしてお声掛けは、斜め後ろから。どんなに集客ができるようにブースを計画しても、この「待ち方」で集客は大きく変わってきます。当社では、デザインしたブースにはどんなスタッフの配置が良いのかまでご提案しています。また、会場で「残念な」スタッフ配置になっていた場合も、遠慮なくアドバイスさせていただいています。動的待機、そして「さくら」の効果を最大限活用すること。これも、成功するためにはとても重要な条件の一つです。